院内LANを用いた薬袋印刷システムの効果

       ---自作ソフトの開発を通して---


 山梨県  牧丘町立牧丘病院薬剤部  ◎望月正英・藤原建二      

大規模病院では,市販されている自動薬袋印刷システムを導入して薬袋に氏名などを印刷をしているが,中小の病院や診療所・医院では,まだ薬袋を手書きしている場合が多く見受けられる。当院でも昨年3月まで薬袋を手書きしていた。しかし,薬剤管理指導や薬剤師法第22条の2のように「薬剤の適正な使用のために必要な情報を提供」することが義務となっている現在,薬袋のシステム化は必須になってきた。我々の開発した薬袋印刷システムは,Macintoshで患者氏名・診断名・既往歴・アレルギー歴などを抽出した後、薬剤師が用法・薬効・注意事項を入力するという方法である。これで,患者・医師などに広範囲の情報を的確・迅速に伝達できたり,予約日の印刷で継続的な患者再診も誘導することができたので報告する。また,同時に薬剤管理指導書も作成できるようにしたのであわせて報告する。

牧丘病院はベッド数30床, 平均外来患者数は64.3人で処方せん枚数は46.0枚です。処方せんの特徴は慢性疾患比率85.7%と急性疾患に比べ優位に高く,また年齢構成においても60才以上が73.6%で高齢者が多いのも特徴となっている。

当院では6年前の1992年10月から院内LANを活用してさまざまな情報交換をしてきた。このLANシステムは自分達でケーブルの配線など,全て手作りで構築した。現在,院内では1人1台のMacintoshを配置している。

この図は院内LANの一部で,薬剤部の構成図である。パソコンはMacintosh Parforma 5280、プリンターは ヒューレットパッカー社のDesk Writer AとBで,それぞれシリアル接続とLAN接続した。尚,アプリケーションソフトはファイルメーカーPro 3.0を使用した。

これは実際に薬剤部の中から見た所で,上のプリンターが薬剤管理指導書作成用に,また下のプリンターが薬袋印刷用になっています。このように座って操作ができるように,人の近くにMacintoshと2台のプリンターを配置した。

これは自作の給紙トレイ・排紙トレイとプリンターです。

プリンターは薬袋を固定供給できるようにプリンターの給紙・排紙のトレイを考案した。

材質はプラスチックの板にダンボールを切って張り付け,薬袋が挿入しやすく,また固定されやすいように表面に透明なカルテファイルを貼り付けた。これにより,1つの給紙トレイで,6種類の薬袋などを固定印刷することができた。また,排紙トレイにはプラスチックの板をアーチ状にしてトレイを強化した。

これは院内LANの関係図です。

外来受付で, File『makioka』にID番号・生年月日・氏名・電話番号などの情報を入力する。医師が処方を印刷する時に使用しているFile『makioka』には,医師が処方の管理と次回予定日や診断名・既往歴・アレルギー歴などを記入して,処方を印刷した。このFile『makioka』の情報をMacintoshで抽出して,File『薬袋印刷』に読み込ませた。薬剤師は,カルテの記載内容を確認し,また抽出した情報を参考にしながら,薬袋の記載内容を考えた後,薬袋に印刷をする。また,薬袋の内容と,注意事項や副作用の初期症状と,処方をまとめた薬剤管理指導書も作成できるようにした。

これがMacintoshの印刷画面です。まず,カルテの記載内容を確認した後,処方内容と診断名・既往歴アレルギー歴を参考にして,薬効などを入力した。そして,印刷ボタンを押すと薬袋が左側のように印刷される。次回予定日は薬袋の右上に印刷した。このFile『薬袋印刷』は全てオリジナルで作成した。

薬袋印刷時間の実測結果は,

52名の患者で125枚の薬袋作成に1時間17分間を要した。患者の検索から薬袋印刷までの所要時間は、

一人当り平均1分30秒、1枚当り平均37秒かかった。


 「結果」成果として

1)大きさの異なる6種類の薬袋などに,患者ごとに18種類のレイアウトで印刷することが可能になり、1つの薬袋にも2〜5種類程度の薬効が入力できるようにした。

  2)次回診察予定日を印刷することで,患者は次回診察予定日に来院するようになり,患者の再診を支援することができた。

3)次回投薬予定日を過ぎても来院していない患者を検索し連絡できるようにした。また,患者と電話連絡した内容は別のデータベースに保存し、共有画面で医師に連絡することができた。 

4)配合禁忌や重複投薬などの確認や、調剤する時に間違えやすいと思われる箇所に★星印を薬剤師が入力することで、調剤過誤になる危険度が減少した。

5)的確に薬の内容を患者に伝えるため、薬袋に印刷する薬効の説明文は,薬剤師が診断名・既往歴・アレルギー歴などの個々の患者情報を参考にして入力した。この作業は自動化は不可能であり、的確な薬効の説明には共有画面を利用して,処方した医師とのコミュニケーションを取りながら,患者に必要な情報を印刷することが可能になった。

6)手書きに比べてはるかに多くの情報を印刷することが可能になった。

これは,薬袋に印刷する文章で99項目の雛型の一部である。 あまり多いと選択しにくくなるが,系統別にすることでわかりやすくなった。◎は薬効を,☆は注意を促している。



『考察』

当院では,市販されているパソコン・プリンター・ソフトを利用し、約25万円の費用で機能性と経済性を融合した自作の薬袋印刷システムを構築することができた。当院のシステムは自作であるので自由に改造ができ,業務稼働中でも自由にカスタマイズが可能である。このため,各病院に適合したあらゆるタイプの薬袋印刷が可能になった。今後もこのシステムをより使いやすいように改善していきたいと考えている。