『人と人』

出会った人・出会わなかった人


 大学1年の体育の授業でハンドボールを選択した。そのとき出会った先生が西垣利男先生(現在姫路短期大学助教授)である。東薬を思い出すとき専攻領域の先生方より体育教育の研究室が浮かんでくる。私の大学時代は運動一色だといっても過言でない。硬式野球部の所属でしたが、研究室の小清水英司先生(現在東京薬科大学助教授)や西垣利夫先生に夜遅くまでバドミントンを享受していただいた。その後も西垣先生とのつきあいは続き、毎年、先生の授業で実施されるスキー教室に顔を出させてもらっている。特にこの夏は小清水先生や西垣先生の家族共々ハワイで旧交を暖めさせていただいた。なぜこのような心に残るつきあいが成立したかを考えると、今の学生と違って「貧窮した学生」であり、限られた楽しみの中で自己の存在価値のようなものを認めてもらえる場所がそこにあったからだと思う。

 その後、公立病院に職を得て既に20年に手が届くほどになる。職場での人との出会いというのも非常に多い。スタッフは勿論のこと、比較的遠隔地の病院であるために遠隔地勤務が義務づけられた新進気鋭の医師たちも多く、様々な刺激を与えてくれる。機構の中の一構成員としての存在だけではなく、比較的、経営や業務・院内の改善についてもフランクにディスカッションできる人間関係であるため、最近ではインターネットや院内LANによる医療情報の研究を共同研究で行っている。

 人と人の心の交流から新たな地平を見い出し、コンピューターを媒介にして県内や国内の医療関係者と電子メールによって交流を果たしている。薬剤師としては院内やネットワーク上の人々との交流の他に製薬会社や他の病院との連携情報交換に努めている。

 窓口で患者さんと手のぬくもりやその日の顔色を感じながら接する自分と、瞬時にネットワーク上を駆け回って最新情報を画面でコミュニケーションする自分、その両者を感じた時「大きな時の流れと進歩」を実感する。

 しかしながら一つだけ言えることは、パソコンに向かう自分も、患者さんに接する自分も過去において交流を果たしてきた人間関係の中からの育てていただいた人格が行っているという事実である。人に教えられ人に与えられた現在の自分なのである。

         


薬時新報に96年10月10日に掲載された。
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