MRSA感染について

MRSA対策における手洗い

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2000.07.06

作成



MRSA対策として特別な手洗い・手指消毒はない。
すべて通常のユニバーサルプレコーションに基づいた手洗いを行う。
手洗い後、手を完全に乾かすことが重要である。

ユニバーサルプレコーション

 ユニバーサルプレコーション(Universal precaitions, UP)は、1985年にアメリカ合衆国で主にHIV感染防止のための「血液予防対策」として、とくに医療従事者の保護を中心に考え出された注意事項である。すべての患者の血液は感染の可能性があるものとして取り扱い、針刺し事故の予防や血液・体液曝露事故に対する対策を講じようとする考え方である。1987年になって、生体物質隔離策(Body Substance Isolation, BSI)と呼ばれるシステムが提案され、対象範囲を血液に加えて、患者の湿性体液、排泄物へと広げた。その後、いくつかの項目が病院における医療の内容に沿った形に変えられ、アメリカ国内やヨーロッパへと広まっていった。1996年2月に病院隔離予防策ガイドラインがアメリカ防疫センター(CDC)により発表された。ここにはBSIに不足している手洗いや、他の呼吸器系、結核等の予防策について追加し、UPの再修正版としてスタンダードプレコーション(Standard Precautions, SP)として感染経路別予防策が示されている。感染経路を空気感染、飛沫感染、接触感染に分け、とくに空気感染と飛沫感染を明確に区別して対策を講じるべきことが記載されている。
 ヨーロッパにおいては、1990年頃から血液、すべての湿性体液は感染の可能性のあるものとするUPが既に定着していた。1996年CDCより発表されたSPは1985年のUP、1987年のBSIと区別するために考え出された名称でヨーロッパにおけるUPと内容的には大きな差はない。最近英国で発表された院内感染防止ガイドラインではUP,SP,BSIを説明の上、普遍的血液体液プレコーションガイドライン(guidelines for routine blood and body substances precaitons)の名称を使用しているため、本論文ではよく使用されているUPの名称を使用した。
 病原体が確認された、されていないにかかわらず、血液・体液・排泄物はすべて感染の可能性があるものとして取り扱う考え方は病院だけでなく、在宅医療においても必要で、すべての患者に一定の医療を提供できるだけでなく、未同定の疾患から医療従事者を保護することができる。
 具体的対策としては、血液、体液に触れる可能性のあるときは手袋を使用し、もし手に触れたら直ちに水洗・消毒すること、血液・体液が飛び散る可能性のある場合は、プラスチックエプロン・マスク・ゴーグル等の防御用具を使用すること、感染性廃棄物の分別・保管・運搬・処理を適切に行うこと、手袋を外したあとも手洗いをすることなどである。病室ごとに手洗い場と石鹸、消毒剤、未滅菌手袋を配置し、採血や注射の際にその場で注射針の処理ができる専用廃棄BOXの配置が必要である。

院内感染予防対策ハンドブック、p3-4、1998年、東京 南江堂

 MRSA隔離病室では廊下側と室内の両方に手洗い設備を置く。
病室内の手洗い場では流水と石鹸による手洗いを行い、ペーパータオルで拭く。
廊下側では速乾性すり込み式手指消毒剤を配置する。

 

MRSA隔離病室における医療従事者・付き添い人の手洗い

 
  1. 患者や器具に直接接触しない場合は、
    退出時に病室内で石鹸と流水で手洗いする。
  2. 患者や器具に直接接触する場合は、
    入室時に病室内で石鹸と流水で手洗いし、乾燥後にガウンと手袋を着用する。
    退室時はガウンを室内のガウン掛けに戻し、手袋を室内のゴミ箱に廃棄し、廊下側の消毒剤を用いて手洗いをする。

 

 

MRSA隔離病室における面会者の手洗い

 入室時、退出時に病室内で石鹸と流水で手洗いする。
 面会時に病室内にまったくどこにも触れることがない場合は、ガウンと手袋の着用は不要である。


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